安定基金業務の詳細は、定款ならびに業務方法書で定められていますが、その概要について要約すると次のとおりです。
(1) 基金の目的と法人格
基金は、原料価格の変動に起因する配合飼料価格の変動によって生ずる畜産経営者の損失を補てんすることにより、経営の安定を図り畜産から産出される食糧等の供給と価格の安定に資することを目的とする制度であり、一般社団法人です。
(2) 事業の内容
基金は上記の目的を達成するため、次の事業をおこないます。
ア.配合飼料の価格差補てん契約(通常基金)及び異常補てん交付契約の締結
イ.通常補てん積立金の徴収及び返還、異常補てん積立金の徴収
ウ.通常価格差補てん金及び異常価格差補てん金の交付
エ.上記に付帯する事業
上記事業に要する費用に充てるための資金は、所得税法施行令第167条の2および法人税法施行令第136条の要件に該当するものとして、基本契約期間(4か年間)ごとに国税庁長官の指定を受け、必要経費又は損金算入の措置が認められています。
(3) 対象配合飼料および対象畜産経営者
ア.対象配合飼料は以下の条件をすべて満たす飼料です。 (ア)全農または全農に代わって配合飼料を供給するものとして全農が指定する
飼料会社(指定飼料会社)が供給する飼料
(イ)穀類の区分に属する原材料に加え、そうこう類、植物性油かす類及び動物質性飼料の3区分のうち少なくとも1区分に属する原材料からなる飼料(ただし、これらの4区分に属する原材料が3種類以下となっている飼料を除く)。
(ウ)穀類、そうこう類、植物性油かす類及び動物質性飼料に属する原材料の配合割合の合計が50%以上の飼料(ただし、動物質性飼料のうち、乾燥ホエー、全脂粉乳、脱脂粉乳及び濃縮ホエーたん白の配合割合の合計が50%以上の飼料を除く)。
(エ)鶏、豚、牛、うずら又は馬、めん羊、山羊等食用に供することを目的として飼養している家畜を対象としている飼料
イ.対象畜産経営者
(ア)畜産経営者とは、自己の名をもって、家畜および畜産物の生産を目的とした活動を行うことを業とする個人または法人をいいます。したがって、例えば、国または地方公共団体の試験場および教育機関、その他類似の機関は畜産経営者とはなりません。
農業生産法人等はひとつの経営主体であるので、その法人が畜産経営者とし
て加入できます。
法人でない複数の畜産経営者の団体(グループ)加入は認められないので、あくまで畜産経営者個々の加入(契約締結)でなければなりません。
(イ)基金の行う価格差補てん事業の対象となる畜産経営者は、次の要件のすべてを備えている者でなければなりません(以降「加入生産者」と呼称します)。
a. 次に掲げる家畜のいずれかについて次の頭羽数を常時飼養している
こと。
採卵鶏 100羽以上 乳用牛 1頭以上
肉用鶏 500羽以上 肉用牛 1頭以上
肥育豚 5頭以上 うずら 1,000羽以上
種 豚 2頭以上 その他家畜 業務方法書細則による b.全農の直接または間接の構成員である農業協同組合または農業協同組合連合会または指定飼料会社から、畜産経営者がその使用する配合飼料を購入する計画を有し、配合飼料の価格差補てんに関する基本契約および数量契約を締結していること。
(4) 通常価格差補てん金及び異常価格差補てん金の交付基準
ア.通常価格差補てん 発動基準: イ.異常価格差補てん
当該4半期の輸入原料5品目(メイズ・マイロ・大豆粕・大麦・小麦)の加重平均価格価格が、当該四半期直前1年間の輸入原料5品目
の加重平均価格価格の平均値より上回ったとき、その上回った額。
(ア)原則の発動基準:当該四半期の輸入原料5品目(メイズ・マイロ・大豆粕・大麦・小麦)
の加重平均価格が、当該四半期の直前一年間の加重平均価格の115%を越えたとき、通常補てんがおこなわれていることを条件に、115%を超えた部分の額。
(イ)特例の発動基準:原則の基準で発動されない場合、当該四半期の輸入原料5品目(メイズ・マイロ・大豆粕・大麦・小麦)
の加重平均価格が、当該四半期の半年前から一年半前の加重平均価格の123.3%を越えたとき。但し通常補てん単価の1/3を上限とする。